権利者の方へ

模倣品の輸入を税関で差止めしたい権利者が行う手続きは次のとおりです。

輸入差止めの申立てをする

特許権者等が自己の権利を侵害すると認める貨物が輸入されようとする場合に、税関長に対して侵害認定手続を執るべきことを申し立てることができます。

従来より侵害するおそれのある貨物を発見した場合には、税関は職権により侵害認定手続を開始することもできます。

しかし膨大な貨物の中からそのような貨物を発見することは容易ではありません。

そこで権利者等自らが侵害するおそれのある貨物の発見に有用な情報を提供してそのような貨物の発見を容易にし認定手続の開始を促すことができます。

申立てに際しては貨物の輸入が侵害を構成することを疎明するために必要な証拠の提出が必要です。

弁理士等が作成した鑑定書を証拠として提出することが一般的です。

差止めの申立てがあると、その内容を税関ホームページに公表する等して利害関係者に意見を提出する機会が与えられます。

意見が提出された場合はその意見も踏まえたうえで、侵害の事実を疎明するに足りる証拠があるかどうかの審査が行われます。

利害関係者から意見が提出された場合の他、必要と認めるときは専門委員に意見を求め、申立てを受理するか否かが決定されます。

申立ての対象となるのは、特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権・著作隣接権及び育成者権を侵害する貨物の他、不正競争防止法(第2条1項1号から3号)に違反する貨物となります。

無審査で登録された実用新案権については、実用新案技術評価警告書及び警告書の提出が必要となります。

不正競争防止法による申立てについては、経済産業大臣意見書を提出する他、第3号に規定する形態模倣品の場合は侵害行為を警告書等の提出が必要となります。

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申立ての更新をする

輸入差止めの申立ての有効期間は最大4年です。

有効期間が満了した後も申立てを継続する場合は申立てを更新することができます。

有効期間が満了する日の3ヶ月前から満了する日までの間に「申立更新申請書」を提出します。

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申立て内容の変更する

申立てが受理された後に申立ての内容に変更が生じた場合は、変更の内容を記載したの書面(任意)を提出します。

なお内容の変更が侵害の立証に関係するような場合は、新たに申立てを行うことになる場合があります。

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差止めが不要になったら申立てを撤回する

差止めの申立てを継続する必要がなくなった場合は、書面(任意)により申立ての撤回を申出ることができます。

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貨物を点検する

申立てに基づいて認定手続が開始された場合、権利者又は輸入者は輸入しようとする貨物が権利を侵害するか否かの意見・証拠を提出するために、通知日から10(執務)日(生鮮品は3執務日)以内に貨物を点検することができます。

点検の範囲は貨物の外観等の確認に限られます。

外観等の確認だけでは侵害の有無を判断できないような場合は、権利者は見本検査を申請することができます。

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貨物の見本検査をする

輸入差止申立てに基づいて認定手続が執られている場合に、申請により権利者が貨物の見本を検査することができる制度です。

貨物の外観等の点検だけでは侵害の特定が困難な貨物に対して分解・分析等の見本検査を行うことにより内部に特徴のある貨物に対しても侵害の特定が可能となります。

見本検査の承認要件は1から4となります。

  1. 証拠提出・意見陳述のために、見本の分解、性能試験、分析等を行う必要があること
  2. 輸入者の利益が不当に害されるおそれがないこと
  3. 見本の転売等、見本が不当な目的に用いられるおそれがないこと
  4. 見本の運搬、保管又は検査、見本の取扱いを適正に行う能力、資力を有していること

見本検査を行う場合は1000円程度以下と認められる場合を除き供託が必要となります。

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特許庁長官に意見を照会する

特許権、実用新案権、意匠権を侵害するか否かについての認定手続中に、技術的範囲の属否等について特許庁長官の意見を聴くことができます。

特許庁長官から回答があった意見に基づいて侵害の該否が判断されます。

育成者権侵害については農林水産大臣意見照会制度、不正競争防止法違反については経済産業大臣に対する意見照会制度があります。

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処分に不服がある場合は不服を申し立てる

差止申立てにおける「不受理」・「保留」又は認定手続における「非該当認定」に対して不服がある場合は、不服を申立てることができます。

不服の申立ては裁判所に対して行う取消訴訟(行訴法14条)と、税関長に対して行う異議申立て(関税法89条)と、があります。

異議申立てに対する決定に対しては、さらに財務大臣に対して審査請求(関税法90条)をすることができます。

審査請求に対する裁決に対しては、裁判所に対して取消訴訟(行訴法14条)を提起することができます。

不服申立てをすることができる期間は処分を通知する書面に記載されています。

異議申立ての場合は処分があったことを知った日の翌日から起算して2ヶ月以内、審査請求の場合は決定があったことを知った日の翌日から起算して1ヶ月以内、取消訴訟の場合は裁決があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内で処分または裁決があった日から1年を経過したときは提起することができない、とされています。

税関長の処分に対して異議申立てを行うか、または取消訴訟を提起するかは自由に決めることができます。

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